春日部周辺の気候を緩和する効果

農林水産省関東農政局農村計画部資源課



水田の風下に住宅地 春日部で調査

 平成16年度から19年度までの予定で、都市の温暖化を緩和する水田の働きについて調査を行っています。これまでの調査で分かったことをご紹介します。
 首都圏周辺では夏場、南から南東の風が卓越している特性があります。そこで、水田地帯の風下に市街地が位置している中都市の春日部市を調査地区として選定しました。春日部市は昭和40年代前半から東武伊勢崎線や国道16号線に沿って宅地化が進みましたが、大増新田地域には約1,000haのまとまった水田地帯が形成されています。
 16年度から定点観測、移動観測を行い、気温分布などを把握しました。定点観測は、土地利用の状況が異なる市街地、水田地帯に自動記録式温度計を5地点に設置しました。風向・風速のデータは、春日部市消防本部から提供していただきました。
 また、移動観測は、自動車2台に観測機器を装備し、時速30km程度で、観測間隔を500m以下で観測しました。移動時間による補正をして、調査時刻の地域の気温分布を把握しました。






水田から市街地へ吹く涼しい風

 定点観測の結果から、平成16年の夏、熱帯夜が市街地で17日発生しています。これに対し、水田地帯は2日で、アメダス地点(越谷)の発生日数(16日)と比較しても極端に少ない結果となっています。
 次に移動観測の結果から、平成16年8月31日の14時の気温は、水田地帯の大増新田地域は33.7度、市街地は38.3度で、最大気温差は4.6度でした。
 同日の20時の気温は、大増新田地域は25.6度、市街地は32.0度となっており、最大気温差は6.4度ありました。(図1-1、1-2)
 こうした現象は、市街地のビルやアスファルト道路に日中から熱が蓄えられていて、夜間に放熱しているためと考えられます。
 次に、土地利用の変化によって、気温がどのように変化するのか予測してみました。
 春日部駅周辺を中心とする5km四方について、平成16年現在の気温分布(図2)と、40年前の駅周辺が市街化しているほかはほとんどが水田だった頃(図3)を比較してみました。
 水田地帯の大増新田地域の気温は、40年前と大きな変化はみられません。一方、市街地が拡大した現在の春日部市周辺では、40年前と比較して気温が2.7度上昇し、高温域も市街地の拡大に伴って広がっています。
 平成16年8月3日14時の気温を等温図(図4)に示すと、風上の水田地帯から市街地に向かって楔形(くさびがた)になっています。これは水田地帯からの涼しい風が風下に運ばれるためで、春日部市街地の気候を緩和していると考えられます。