インタビュー

自ら伝える食 簡単、うまい、生産者の味
真の美味しさを伝える試みを続ける越生町の梅農家
山口農園 代表 山口由美さん

[2014/09]


  農家だからこそ一番の食べ方を知っている。生産するだけでなく、そのシンプルで美味しい食べ方までトータルで伝えていきたい――その想いを胸に、忙しい農作業と育児や介護などの家事、地域活動の合間をぬって、消費者の前に立ち続けている。

 日に焼けた肌に身支度を整え、化粧もしっかり。「私、生産者です。うちの農園で採れた梅は美味しいですよ」と消費者へ語りかける。

 食べ方や作り方まで伝えたいと、梅を使ったレシピを自ら考案して紹介もする。
「例えば、梅干し作りは難しいと思われがち。昔は自家製だったのに、受け継がれていない。簡単に、美味しく作る方法がありますよってレシピと材料をセットにして販売もしています。農家だけが知っている味を、今伝えておかないともったいない」

 実家は農家ではなく、嫁ぐ前は幼稚園の先生だった。夫は勤め人で「私も農作業はしなくて良いはずだった」。だが、「84歳の義父には嫁は農作業の大事な担い手だったのだろう。教えられるでもなく働きながら学んだ」。梅を育てるのは面白い。義父が倒れたのを機に自分が継ぐことを決意した。

 梅のファンを増やしたい。生産現場の見学会を開き、農作業や料理体験教室も続け、加工品開発にも熱心に取り組む。少しずつ、自分の理想とするやり方を実現してきた。

「決めたからには自分も楽しまないと。じいちゃん、私、日本一の梅農家になるからね!って言ってるんです」

 地元、越生町で農家に嫁いだ女性たちと「ばば乙女会」を設立した。共に栽培技術を学び、加工品作りの勉強会にも取り組んでいる。