インタビュー

郷土の味が人の「根っこ」育てる
NPO法人食育研究会Mogu Mogu 代表理事
松成容子さん

[2014/05 ]


 「食」は命を守るものだ。母としてその重責を負っているが、実は食べ物のことをよく分かっていなかった。そこで、食を学ぶ必要性に敏感だった女性が集まって活動を始めた。NPO設立は2003年だが、取り組みはその前から。料理教室や産地見学など多彩に取り組んでいる。

 郷土食について分かりやすくお雑煮で考えてみよう。私も夫も岡山出身で、それぞれに「育った味」がある。その一方、子どもは「浦和っ子」だが、母の私は子どものふるさと浦和の味を知らない。それでは寂しいと思い、子どもが成長した今でも学ぶ活動を続けている。

 郷土食や地元産を学ぶことは、自分のふるさとを認知するきっかけになる。ふるさとの味は「こういうものだ」という経験を子どもの頃から重ねることが、やがて人の根っこになるだろう。さらに、土地の文化や歴史が食と結びつけば、田畑や農産物が目の前にある意味にも気づける。

 郷土料理は地味で手間がかかる印象があるからか、料理教室を開いても人気は今ひとつだ。しかし、食を学ぶことは多くの引き出しを持つことにつながる。これに農業に触れる、肉や魚をさばくなど感性を揺さぶる経験が加われば、引き出しはさらに増え、華やかな料理にも生かせるし、何よりも人生が豊かになる。

 一方、生産者のみなさんにお願いもある。自ら育てた農産物を自信たっぷりに自慢してほしいのだ。「この時期のは甘いよ」「こう料理したら美味しいよ」など、もっと声が聞きたい。そして、私たちの声も生産者へ届けたい。そのやりとりが本当の美味しさにつながると思うから。