クローズアップ

家族と食卓を囲んでますか?

[2012/10]



地域との交流を「全くしない」人の孤食の割合は、「よくしている」の3倍以上。人とのつながりは「美味しさ」でもある

 

 

絆が支える高齢者の食事

 平成24年度版食育白書によれば、朝食や夕食を家族で食べる回数は、施策の目標値「週平均10回」を上回った。家族や地域で食を共にする「共食」が進む一方で、単身で暮らす高齢者世帯の食卓の実態も見えてきた。地域の人との行き来がある人ほど「孤食」が少ない、と白書は語る。家族や地域社会のあり方が問われている。美味しさって何だろう。

 ライフスタイルや家族の関係が多様化し、家族で食卓を囲む機会が減っている。一人で食事をする「孤食」も課題として指摘されて久しい。みんなで食べたらおいしいね――平成24年度版食育白書は食育推進施策の課題と取り組みとして、こんな特集を掲載した。

 白書は、家族や地域のつながりの中で「食を共にすること」を『共食』と位置付け、朝食または夕食を家族と一緒に食べる回数を調べた。

 結果、共食の回数は平成22年12月の調査から増加して週平均10・4回に。第2次食育推進基本計画が掲げる目標値を、取り組み初年度にして達成した。

 その一方、1日のすべての食事を「ほとんど毎日」一人で食べる人の割合は、70歳以上の女性が19・9%と最も高く、次いで60歳代女性と70歳以上男性が共に8・6%だった。単身世帯の割合が最も高いのも「70歳以上の女性」世帯。白書からは一人暮らしの高齢者の「食卓」の実態がみえてくる。

 児玉郡の佐藤タカ子さん=仮名は間もなく90歳になる。数年前に姉を亡くして、以来一人暮らしを続けている。歳を重ねるごとに、買い物や食事の支度が体に堪えるようになった。一人で食べる食事は何となく味気ないが、地域とのつながりがタカ子さんを支える。
「買い物に行くけど、一緒にどうだい?」

 玄関口に聞きなれた声、隣に住む友人だ。足が痛むタカ子さんを気遣って、いつも迎えに来てくれる。友人の息子の運転で車で5分ほどのスーパーへ。一週間分の食材をまとめ買いして運んでもらう。友人とは古い付き合いで、おしゃべりも買い物の楽しみだ。
「近所の付き合いが何よりも大切。年寄りでも生活できるのは近所があるから。みんなの助けが本当にありがたい」

 知り合いの農家から野菜が届くこともあるし、近所から昼食に誘われる機会も多い。採りたてに加えて人の温もりが感じられる野菜の味は格別だし、さりげない料理もみんなで食べると特別なご馳走になる。
「町内の清掃活動やお祭りには日頃のお礼だと思ってなるべく顔を出すようにしている。こんな年寄りにもできることがあると思うから」

 近所付き合いなど地域との交流が多い人ほど孤食が少ないと白書は指摘する。「ほとんど毎日」一人で食事すると答えた割合は、交流を「全くしない」人が19・6%。これに対し、交流を「よくしている」人は6・1%で、孤食の割合は3分の1以下だ。さらに、地域とのつながりを実感している人ほど孤食が少ないことも分かった。

 「隣近所に世話になりながらでも、一人で出来るうちはここで暮らしたい」。タカ子さんの一番の願いだ。