クローズアップ

生産者とのつながりを知ろう

[2011/10]



店頭のショーケースに並ぶ国産肉。県内産のほかには九州地方が中心だ

 

わくわくモーモースクール(岩瀬小学校)

見失った安心・安全の基準

 実りの秋を迎えて、各地で農業祭などの催しが盛んだ。被災地の復興支援のため義援金を募ったり、被災地の農産物を販売したりする企画も多い。一方で、安全が確認されても農産物には苦しい状況が続く。検査結果を公表するなど安全性をアピールしても、原発事故による風評が影を落とす。

 農業祭は、生産者の声を直接消費者へ届ける場。消費者にとっても、生産者の想いを知り、生産や管理体制などを理解する好機だ。安全を測る基準値とは別に「安心を納得する指標」を探すことが、今、求められているのではないだろうか。

「信頼と実感」食にもう一つの指標を

 原発事故の影響で首都圏の農産物からも放射性物質が検出された。県は県内産40品目を超える農畜産物に対して、影響検査を実施。ホームページで結果を公表するなど安全性をアピールするが、一部でなお暗い影を落とす。

 「地元企業としてできることは協力しようという使命感はある。福島県産の農産物を店頭に置くように努力はしているが売れ行きは…」。花園ショッピングセンター食品館ハーズ(深谷市)の佐藤勇次郎店長は顔を曇らせる。

 食肉売場のショーケースに並ぶのは、国産肉では県内産のほかに宮崎や鹿児島産などが中心だ。「仙台牛などは有名銘柄だが、仕入れてもなかなか売れ行きが悪い」。野菜も同じで、県内産がよく出る一方で、福島産のものは半値でも売れ行きがいま一つだという。

 江戸川大学社会学部の惠小百合教授は、こう指摘する。
「消費者である私たちは、事故をきっかけに食の安心、安全に対して確かな基準を見失なった。分からないことが多い中で、シンボリックな安全を求めて過敏になってはいないか」

 子どもたちの歓声に混じって牛の鳴き声が響く。羽生市の岩瀬小学校で、「みんなで食育!わくわくモーモースクール」が開かれた。県酪農教育ファーム推進委員会が主催したもので、酪農家や乳業会社などが協力した。

 スクールでは、児童らが搾乳や子牛の哺乳など牧場の仕事を体験。乳牛に触れ、普段は接する機会がほとんどない酪農の現場を知り、生産者の想いや声に耳を傾けた。指導に当たった酪農家の亀田康好さんは力を込める。
「牛乳の安全基準はとても厳しく、検査体制もしっかりしている。安心して飲んでほしいと願っているが、消費者の過剰な反応を残念に思うことがある。生産者の取り組みを理解してもらう上で、児童や保護者へ直接働きかけられる機会を大切にしたい」

 授業をサポートしていた保護者はこう話す。
「悪いなと思いつつ、肉や野菜、魚は産地を選んでしまっていたが、生産者の方と話をして苦労や管理のことを知ると安心できる」

 食の安全、安心には基準値とは別の指標もあるのではないか。つながりを知ることがプラットフォームになる―惠教授の言葉が印象に残る。